M&Aの注意点まとめ

跡継ぎがいないケースにおいて、会社を存続させる唯一の方法がM&Aです。かつてはマイナスのイメージが強かったM&Aも、事業の安定的継続という側面が理解されるようになり、現在では引退を決めた経営者が積極的にM&Aを進めるようになってきています。後継者不在でやむなく廃業した後で後悔しないためにも、M&Aの選択は中小企業にとって事前に検討すべき重要な事項になります。それでは以下に、M&Aを進める際の注意点を列挙しておきましょう。

(1)会社の魅力を強くアピール

M&Aとは企業の売却です。そのためには、自社の魅力を最大限にアピールする必要があります。
どの会社でも自社商品の良い点を並べ「買ったら得する」ことを重点的に宣伝しています。これと同じことを、会社に当てはめてアピールする必要があるわけです。

(2)自社の価値を正確に把握しておく

自社をM&A市場に出すには、会社の価値がどれほどなのか、正確に把握しておく必要があります。
これらには相続税等の視点も必要ですので、M&Aで実績がある業者や税務面に詳しい税理士などの専門家に企業価値を依頼するのが無難でしょう。

(3)買手の選び方

M&Aを決断しても、買手がすぐに現れるわけではありません。オークション市場のように買手候補が同時に手を挙げてくれることもありません。「あのとき売っておけばよかった」と後悔するケースもありますし、M&A成立後にもっと高く買いたいという買手が出てくる可能性もあるのです。このような点をよく考えて、慎重に買手を選ぶことが大切です。

(4)タイミングが重要

M&Aを成功させる最大のポイントは、売る時期のタイミングを見極めることです。
2020年に世界を震撼させた「新型コロナウィルス」の感染流行では、ホテルや飲食業界が大きな経営的打撃を受けました。本来ならM&A市場では人気業界となるはずの飲食店は買手が付きにくくなってしまい、M&Aの売値も低い状況となっています。

(5)最後に

M&Aをしようにもノウハウが分からず二の足を踏んでいたり、M&Aをしたものの相場よりも低い評価で「買い叩かれて」しまい、成立後に後悔したりという実例も少なくないようです。一方で、適正なM&Aが実現できた実例も数多くみられるようになりました。
業種を問わず業績が伸びている会社や将来性のある会社は必然的に評価が高くなり、高値で売れるということになります。いずれにせよ、M&A専門のアドバイザーに相談をするのが一番の近道といってよいでしょう。

当協会の関連資格

M&Aスペシャリスト

理事 小嶋純一
税理士法人 中山会計  代表社員税理士 専務
(税理士、経営管理士、M&Aスペシャリスト)

横浜国立大学卒業。M&Aスペシャリスト及びM&Aシニアエキスパートの資格を有し、事業承継の出口をサポートするコンサルティングを15年来推進。自社の経営の実践並びにお客様の経営のサポートを兼務。

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