M&Aは良からぬものか?

企業M&Aをする過程での中堅規模企業様のサポートをする仕事に数年間従事しています。そこで経験したことをいくつかみなさまとシェアしたいと思います。

M&Aの買う側からすると、事業をイチから育てるよりも他社の既存事業を手に入れることで時間を節約できます。M&Aの売り手株主からすると、売却益や代金で新しい事業を始める、あるいはリタイア生活をより豊かにできることでしょう。

「恥ずかしい…」社内外に隠した自社株式や事業の売却

ところが自社の株式または事業を売却することが恥ずかしいことだという「感覚」をもつ創業者、あるいは経営者がいます。乗っ取られた感をもっているのか、儲けたと思われるのがいやなのか、社員を売り渡した後ろめたさがあるのか、また別な理由かは、はっきりとはわかりません。

こういった感覚が背景にあるせいか、自社の株式または事業の売却を社外社内に隠す経営者もいます。社員の士気が落ちる、非都会的な地域なので新参者が受け入れらない、といった理由で隠していたのを見たことがあります。これらの理由が適切な理由だったかどうかは今となってはわかりません。

ところが自社の株式または事業の売却は会社の運営に対する影響が大きく、いずれ社員に伝えなければならない状態になったり、お取引先にも伝えなければならなくなります。(もっともこういった隠し事は上場会社ではできません。(株主総会の特別決議などを必要としますし、また債権者には異議申立権があります) そして非上場会社でも会社のオペレーションが変わって隠しきれなくなることでしょうし、そうなった状態を見たことがあります。

中長期的視点で利害関係者のメリットになるM&Aを!

この隠し事が知られた、あるいは白状しなければならない状態になったことにより、経営者は想定外の会社オペレーションを立ち上げなければならなくなり、それは金銭的に想定外の負担が生じたり、時間的な手間がかかります。さらにまた、場合によってはこの隠し事によって社員やお取引先の信用を失いかねません。

自社M&Aを一時的な資金調達手段と考えたりせずに、もっと中長期的に会社の利害関係者を含む環境を改善する手段としてとらえるべきだと思います。

一般社団法人日本経営管理協会ではM&Aスペシャリストを保有する多くの会員が貴社のM&Aを始めとする経営判断をお手伝いする事が可能です。また様々な事例に対応するべくM&Aスペシャリストの資格付与をおこなっています。ぜひとも関連情報をご覧ください。

当協会の関連資格

田所亮子
1988年一橋大学経済学部卒業。M&Aスペシャリスト、JIMA埼玉県支部長。
CIA (Certified Internal Auditor 公認内部監査人) 日商簿記1級

中小企業組合向け邦銀に勤務後、外資系事業会社の日本現地法人の経理財務に十年以上勤務し、その後コンサルティング会社で期間限定のプロジェクトで財務経理業務を中心にお客様のサポートをする業務を十年以上続けています。 M&Aのデューデリジェンス、M&Aを経理財務業務面でのサポートをしました。

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