コロナ禍で見えた経営管理の重要性

首都圏と鳥取県ではコロナ禍の実情は大きく異なりますが、鳥取県の経済は、①公共事業、②観光宿泊業、③首都圏からの受注、という3つで回っているものと思います。

この度のコロナ禍で、鳥取県においては、②と③の外需が途絶えたことによる甚大なダメージがあり、コロナ感染者数に比べて相対的なダメージは大きかろうと思います。

その中でも私の事務所では、Ⓐキャッシュの重要性、Ⓑ管理会計、Ⓒコンプライアンスなど、日頃からうるさがれるほど経営者に説いていましたので、約9割の顧客の売上高は微増から微減の範囲内で何とか乗り切っていると回答を得ています。

残りの1割は、飲食業と観光業の顧客ですので、甚大な減収に見舞われています。

その事業所についても、先ほどのⒶⒷⒸが及第点をクリアしていましたので、国のコロナ対策制度(特別融資、持続化給付金、雇用調整助成金)も円滑に受給でき、なんとか1人も解雇することなく、未だ奮闘されています。

このコロナ対策制度については、「借金は嫌だ」、「助成金だけで乗り越えられないか」と、多くの顧客が二の足を踏んでいましたが、これを「借金は悪いものではない、有効に利用すべき」とか「今は大丈夫でも備えとして借りておこう」と、融資すなわちキャッシュの重要性を説くのにかなりの時間を費やしました。
この度は、「キャッシュは事業継続の命綱、支払利息は安定のための経費」と位置付けた提案資料を作りました。

実際、雇用調整助成金(従業員を休ませる賃金の助成)は、従業員に休業手当を支払ってからの申請となりますので、ある程度のタイムラグがあります。売上が減収しているのに休業手当を支払っていたら、すぐにキャッシュが底をつき倒産します。

まずは特別融資を受給して従業員に支払う。そして助成金や補助金が給付されて、それを返済に回すというお金の流れを図解することによって、顧客の賛同を得ることができました。

コンサルタント契約をしていない事業所がどうなったかは知るよしもありませんが、当事務所の顧客は、しっかりと指導を聞き入れてくれて、コロナ禍の中でも明るく作戦会議をリモートで行っています。

今はコロナが明けたとき、このWeb会議やテレワークの手法を新たな経営管理に活かせないか研究しようと話し合っています。テレワークが実現すれば、広大なオフィスも必要なくなり、残業問題もハラスメントも解決するかもしれません。
今まで経営者も従業員も諦めていたことが実現するかもしれません。今までの常識が通用しなくなります。

我々コンサルタントも、固定概念にとらわれず、柔軟な手法や仕組みを模索し、提供しなければなりません。

「禍を転じて福と為す」、コロナという災いが、日本の悪しき仕組みを取り除いてくれることを期待しています。

鳥取県 辻元誠和

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